リアリティ・イン・アドバタイジング 3章 1億8千万人の頭の中

 フランクリン・ルーズベルト大統領は、ある難問を解決出来ないと訴えていたロス・アラモス国立研究所の物理学者を詰問していた。

 「以前、君は理論的には可能だと言っていたではないか」ルーズベルトが声を荒げる。

 「確かに言いました」と物理学者。「しかし、サハラ砂漠の砂の数を数え上げることも理論的には可能です。でも、実際上は不可能なのです」

 広告リサーチの重要性を理解出来ない素人には、頭の中でアメリカ合衆国の全人口を二つの部屋に二分することがイメージ出来ないかも知れない。

 真の広告のプロ達は知っているが、重要なのは全人口の動態を反映出来るだけの広い、深い十分なサンプルなのだ。

 私が勤務するテッド・ベイツ社では、そうしたリサーチを1940年代から行っている。リサーチは面倒で、コストが高くつく。

 我々はディテールを追及するに際して多くの間違いを犯したが、最終的には消費者人口を広告キャンペーンを記憶しているグループとそうでないグループとに分類し、それぞれのグループが実際にどれだけ広告の製品を使っているかを測定することに成功した。

 我々のリサーチはさらに、アメリカ合衆国の人口1億8千万人の頭の中を解明するという副次的な結果ももたらした。

 どのキャンペーンを消費者は記憶し、どのキャンペーンが購入を促したのか。

 また、驚くほどの数のキャンペーンが消費者に全然記憶されておらず、かつ、実際の購入につながっていないという事実も明らかになった。

 我々は定期的に全米275の地点で多数の消費者にインタビューを行った。サンプルは注意深く年齢、収入、人種、地域等に分類された。リサーチの対象は大きなキャンペーンのみが対象となった。

最大のキャンペーンは1,750万ドル、最小のキャンペーンは40万ドル、平均額は500万ドルであった。また、我々は次のように定義した。

1.広告キャンペーンを記憶している消費者を「ペネトレーション(浸透)」と呼ぶ。

2.広告キャンペーンを記憶している消費者とまったく知らない消費者に二分し、広告キャンペーンによって実際の購買につながった消費者と広告キャンペーンの影響によらず購買した消費者との差を「ユーセージ・プル(引き寄せ)」と呼ぶ。

 一年にもおよぶブランドについてのリサーチは、膨大な推論的作業を要した。まるで古いことわざが言う「盲人の国では片目の者が王となる」を地で行っているようであった。

 単体のリサーチは、海上でレースする競技船が星を頼りに運行するのに似ている。単体のリサーチは、ある瞬間における船の位置を明らかにはすることはできるが、船がどういった海路をたどってきたかは明らかにはできないし、どのくらいの速さで動いているか、また風と波の状態を明らかにすることも出来ない。

 また、ライバル企業のスピード、位置、海路も明らかにすることはできない。

 しかし、長年におよぶ無数のリサーチは、ひとつの基本的な法則を我々に教えてくれた。非常に莫大な価値を持つ法則だ。

 今や、広告のレースは驚くほどにシンプルになった。我々は、レースに参加しているすべての船のスピード、位置、そして海路を知ることが出来る。我々はどこに位置し、どこへ向かい、いつ舵をどこへ切るべきかを知っている。

 我々を導く航海図もあり、岩礁を知らせるブイもあり、安全な港へ導く灯台もある。

 ある大企業の社長はかつて次のように語った。

 「広告とは、私にとっては、ビジネスにおける最大の謎のひとつだ。私は在庫を積み増したり、製造原価を計算することは出来る。納める税金の額や、減価償却費、販売管理費、一株当たり利益額も計算することも出来る。しかし、広告に年間1,800万ドルもの予算を投じたとしても、それから一体どれくらいの利益を得ているのかさっぱりわからないのだ」

 彼は決して例外ではない。広告とは、往々にして、膨大なお金が投じられるミステリアスな渦巻きだ。多額のお金が吸い込まれ、視界から消えてゆく。そして、年度末になって会社の役員達は、この巨額の支出が一体何をもたらしたのであろうかと頭を抱えるのである。

 ある世界有数のメーカーの社長は、別の言葉で表現してくれた。彼は言う。

 「私が投じた広告予算のうち、半分は無駄になったということはわかっている。しかし問題なのは、どの半分なのかがわからないことだ」

 我々が開発した「浸透」と「引き寄せ」は、このような疑問に答えを与えてくれる。

 我々は歴史上初めて、広告に監査的手法からアプローチする。また、我々は歴史上初めて広告のベールの中を覗き込む。

 平たく言えば、我々はいくつかの驚くべき広告の真実を明らかにしたのだ。

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