新規事業の研究 マーケティング ネット広告万能主義の危険性②

リスティング広告の効果に関する声が現実的な問題であるとした場合、その背景には一体何があるのでしょうか?

第一に、グーグルの扱うコンテンツの量と広告スペースの規模的拡大が挙げられます。

グーグルは、1996年にサービスを開始しましたが、当初グーグルがインデックス(検索対象となるウェブページのデータベース)していたウェブページの数は2千5百万ページでした。

ところが、14年後の2010年には、その数は400億ページと1600倍に増加しています。

グーグルのリスティング広告は検索対象となるインデックされたページの上部か右手に露出されるため、広告の掲載可能スペースも相当増加したことは想像に難くないでしょう。

物理的なスペースが増えたということは、当然のことながら広告の数そのものが増える可能性をはらんでいます。

これを別のメディアに例えると、例えばアメリカの新聞は日曜版に大量の広告が掲載され、日本で言うオリコミ広告の類も集中して配布されます。

アメリカの新聞の日曜版は、ちょうど日本の古新聞回収に出される古新聞の束のように、一つが相当の量と重さを持っています。小さな子供では運ぶのが難しいくらいの重さです。

実際、アメリカの新聞の日曜版は、私が観たところ、今くらいのサイズが市場原理によって到達した「最大許容サイズ」であり、これ以上になることは多分消費者が許さない程度であると思われます。

これ以上物理的に広告を増やすと、流通そのものに重大な影響を与えるし、それを読む読者にも相当の時間と忍耐を要求します。

そうなると、メディアとしての有用性が相当程度逓減し、広告としての価値も相当程度棄損することが予想されます。よって、アメリカの新聞は、現在のサイズ以上に拡大することは現実的ではないと判断されます。

また、テレビなどの放送メディアにしても同様でしょう。日本のテレビは国際基準に照らすと非常に特殊で、未だにメディアとしての物理的な上限がありますが、例えば物理的な制約のないユーチューブなどは、まさに青天井で動画が世界中で投稿され続けています。

こうした世界では、例えば特定の番組を広告主が押さえて独占するといったことが従前より困難になりますし、さらに、そもそもどのような「特定の番組」がコンテンツとしてパワーがあるのか事前に予測することも困難になります。

その場合、例えば特定のテーマなりカテゴリーで絞って広告を露出したとしても、視聴者は相当程度分散し、広告効果も相当程度低減することが予想されます。

つまり、コンテンツそのものが増え続けている世界では、消費者の視聴パターンそのものも相当多様化するので、広告がそれに呼応し続けることが非常に難しくなるのです。よって、増加し続ける放送コンテンツを広告媒体として活用するには、従前とは全く違った戦略が要求されるのです。

さて、話をリスティング広告に戻しましょう。グーグルが対象とするウェブページ数が爆発的に増加するとともに、掲載される広告の量も呼応して増加しています。

前回でご紹介した、右肩上がりのグーグルの売上高がそれを表していますが、広告単価の増減を割り引いても、相当数の広告が露出されていることは間違いないでしょう。

実際、イギリスの調査会社BLM Quantium社によると、2009年にグーグルが固有ブランドに対する広告基準を緩和したところ、広告単価が31.6%増加し、逆に平均クリックレートは28.9%から20.9%に低下したそうです。

固有ブランドという特定のキーワードに対する広告量の増加により、総体的なクリックレートが低下することを示すミクロな事例として注目されます。

(ネット広告万能主義の危険性③へ続く)

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