なお、へブル語の神聖四文字である(Yodh, Heh, Waw, Heh)が当初不正確にJHVHとローマ字に置き換えられ、やがて16世紀のイギリスでこのJHVHに別のへブル語の神という単語をローマ字に置き換えたELOAHの母音の(e,o,a)が付けられてJeHoVaHになったと前に書いたが、別の説として、へブル語の神の別の名前のアドナイの母音が付けられ、JeHoVaHになったという説もある。どちらにせよ誤訳であることに違いはない。ユダヤ教の権威あるユダヤ百科事典Jewish Encyclopediaで調べてみると、JeHoVaHは「発音は文法的に不可能である」と断じている。 なお、このJeHoVaHを英語では「ジェホバ」と発音するが、日本では「エホバ」と発音している。

なお、今日我が国に普及している聖書で、旧約聖書のYHWHを「エホバ」と訳している聖書はない。大分以前に使われていた文語訳聖書ではヱホバと訳していたが、現在の聖書でヱホバまたはエホバと訳している「聖書」は、かのエホバの証人達だけが用いる「新世界訳聖書」を除いてない。ただし、繰り返すが、この「新世界訳聖書」は、他の聖書と同列に論じるにまあまりにも問題が多過ぎるので、「聖書」の範疇からは外すべきだと考える。
ちなみに漏れにはこのヱとエの違いがわかっていないが、ウィキペディアによると、これは平仮名のゑのカタカナだそうで、かつては「e」ではなく「We」「Je」と発音されていたそうだ。

というわけで、神様の本名を現す代表的なものがYHWHであることはわかったが、旧約聖書にはそれ以外にも神様のお名前を現す単語がたくさん出てくる。上に上げた「アドナイ」以外にも、例えば「ハシェム」「アドシェム」「エロイム」「ロイ」「シャダイ」「ヤア」等々。しかし、何と言っても究極はやはり出エジプト記でモーセに神自ら答えられたものであろう。すなわち "I AM WHO I AM"(私は、私だ)というあれだ。これは、繰り返すが、神の我々人間に対する基本的なお考えを表すものであると漏れは思ってしまうのだ。ちっぽけな人間、有限な能力しか持たず、罪深く、しかも限られた時間だけしか与えられていない存在の者に、神様のお名前を神様と同等に理解出来るとは、どうしても考えられないのだ。

結局、神様の本名は何だという漏れの息子の質問には、「結局のところわからない」と答えるしかないという結論に改めて帰結してしまうのだが、漏れはそれはそれで特に問題はないと思っている。大切なのは神と言う大いなる存在を指すまたは認める言葉を、その言葉の意味を理解して使うことであり、言葉を単に記号論的に記憶すればいいというわけではないからだ。その意味では、漏れは漏れの息子に次のように説明すべきであったと今となって思っている。「神様の本当のお名前は、とどのつまりはわからないし、わかる必要もない。もっと言うと、多分人間には完全に理解することはできない。でも、大切なのは、その方の存在を認めて、その方を呼ぶために人間が用いている言葉を君も大事に、ていねいに使う事なんだと思うよ」

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Column "Hitorigoto"

Vol.34 神様の本名 Part.4